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​​アクティブバイスタンダーのあなたへ

アクティブバイスタンダーになることを選んでくれて、ありがとうございます。あなたの勇気と行動が、性暴力被害者を1人でも多く救うことに繋がります。性暴力を許さないために、共に立ち上がりましょう。
被害者の助けになりたいけれど、具体的にどんな行動をすれば良いか分からない、と思っている方も多くいるかもしれません。私たちSafe Campusは、アクティブバイスタンダーとして活動してくださるあなたの手助けをしたいと考えています。このページでは、アクティブバイスタンダーに求められている具体的な行動や、持っておいて欲しい心構えを紹介しています。このページを読んだあなたが自信を持ってアクティブバイスタンダーとして活動し、性暴力を許さないというあなたの思いが形となることを願ってやみません。

アクティブバイスタンダーのあなたへ: 追加情報

バイスタンダーとしてできること

5D’sについて

以下では、アクティブバイスタンダーとしてあなたにできる5つの行動をご紹介します。学校や職場、飲み会などでセクシャルハラスメントの現場に居合わせた時、電車やバス等で痴漢を目撃した時などに参考にしていただきたい行動です。

読み進めていただく前に、皆さんにひとつお伝えしたいことがあります。私たちは皆さんに危険を省みずに行動してほしい、とまでは願っていません。第三者による積極的な介入は、時として加害者を激昂させ、その矛先が第三者に向いてしまうことがあります。以下では介入の行動例を紹介していますが、皆さんがそれら全てを必ず実行するよう要請しているわけでは決してありません。それは、誰かを助けようとしてあなたまで傷ついてしまうようなことは絶対にあってほしくないからです。

私たちが望むことは、性暴力の場面に遭遇した時、今までなら「自分には関係のないことだから」と見過ごしていたあなたが、「今自分にできることはないだろうか?」と立ち止まって考えるようになること。このページがそんなあなたの変化を生み出せたら、それは私たちにとって大きな第一歩です。

アクティブバイスタンダーのあなたへ: テキスト

5つのD

アクティブバイスタンダーのあなたができること

気をそらす

Distract

被害者に声をかけ、加害者との接触を強制的に打ち切ることで被害を阻止することができます。加害者を無視し、何事もなかったかのように被害とは全く関係のない会話をしてください。道や時間を尋ねる、知り合いのふりをする、故意に飲み物をこぼすといった方法があります。どんな方法であれ、加害者から注意を逸らし、これ以上の危害を加える隙を与えないようにしましょう。

周囲の人に協力を求める

Delegate

自ら率先して行動を起こすのが難しいと判断した場合、周囲の人に性被害が起きていることを伝え、代わりに介入してもらえないか、一緒に声をかけに行ってもらえないかなど、周囲の人に協力を求めましょう。例えば、乗っているバスの運転手や学校の先生、周囲にいる目撃者など、その場で一緒に助けてくれそうな人はいませんか。
通報という手もありますが、その場合はできる限り被害者に通報したい意思があるかどうか確認してから行うのが望ましいとされています。被害者に近づけない状況にあるなど、意思を確認するのが難しい場合は被害状況等に応じて臨機応変に判断しましょう。

被害を録画する

Document

被害の証拠をビデオに残すという対応も考えられます。ただし、すぐに録画を始めるのではなく、まずは他にできる行動がないか考えてみてください。すでに他の誰かが助けに入っている場合、自身が被害の現場から安全な距離にいることを確認した上で録画を始めましょう。ビデオを撮る際、場所の目印になるような看板や建物を写し、日付と時間を言うと、後に証拠として使用する際に役立ちます。ただし、被害にあった人に録画したビデオをどう使いたいか、あるいは破棄してほしいかを必ず確認し、許可なく使用(SNSに上げる等)することは絶対にやめてください。

あとで対応する

Delay

被害が起きている最中に行動を起こすことができなくても、被害後に「大丈夫ですか」「何かできることはありませんか」などと被害者に尋ねることもとても重要な行動です。例えば、目的地まで一緒に行く、落ち着くまで側にいる、被害者が望むのであれば通報の手助けをする、といった助けを必要としていないか尋ねてみましょう。

直接介入する

Direct

最後に、被害が起きている現場に直接介入するという方法があります。ただし、冒頭でも述べたように、介入が直接的であればあるほど、加害者があなたに危害を加え、状況が悪化するリスクが大いに高まります。そのため、直接介入する前には必ず以下の点を確認しましょう。無理な行動はあなたを危険にさらしてしまいます。

・あなたと被害者の身の安全は確保できていますか?

・介入によって被害が激化する可能性はないと言えますか?

・被害者は介入してくれる人を求めていますか?

以上の点全てが確認できたら、直接介入という可能性を検討しても良いかもしれません。この時、加害者とのやりとりは簡潔に一言声をかけるだけに留めましょう。「それは不適切ですよ」「放っておいてあげてください」といった言葉をかけた後は、加害者が反応してきても言い返す必要はありません。構わず被害者を助けることに徹しましょう。

直接的な介入はあなたに危害が及ぶリスクが伴うことを常に心に留め、慎重な行動を心がけてください。どんな時も、あなた自身の身を守ることが最優先であることを忘れないでください。

アクティブバイスタンダーのあなたへ: リスト

参考文献:Haftel, Roy, Entenmann, Okeyo & Gerlock. BYSTANDER RESOURCES. Hollaback!, 2017, https://www.ihollaback.org/bystander-resources/

アクティブバイスタンダーのあなたへ: テキスト

セカンドレイプとは

セカンドレイプとは、二次被害とも呼ばれ、被害者が被害後に第三者から受ける言動によって更に傷つけられる被害を指します。被害を知った第三者による、被害者の落ち度を指摘したり被害を矮小化したりするような発言によって、被害者は助けを求めることに抵抗を覚えるようになってしまいます。

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セカンドレイプの例

  • 被害当時の服装や飲酒量、被害者がいた状況を指摘し、被害者に落ち度があったと思わせること

  • 抵抗の有無を問い、なぜ抵抗しなかったのかと聞くこと

  • この程度で済んでよかった、早く忘れた方がいい、といった発言をすること

こうした言動が生まれる背景には、レイプに対する偏見があります。以下では、まず「レイプ神話」と呼ばれるレイプにまつわる偏見を紹介し、アクティブバイスタンダーとして活躍してくださる皆さんが自身の性暴力に関する知識を見直す機会となることを望んでいます。そして最後に、セカンドレイプをしないために心がけてほしい3つのポイントを紹介します。

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レイプ神話

下記は、レイプ神話と呼ばれ、レイプにまつわる偏見を指します。

(以下<三成美保・笹沼朋子・立石直子『ジェンダー法学入門』法律文化社, 2019>より引用)

  1. 強姦とは、異常な男が、暗く人通りの少ない道で、通りがかりの見知らぬ女性を、衝動的に襲うことである

  2. 被害にあうのは女性が悪いからだ(女性に落ち度があったからだ)

  3. 夫婦間では強姦はあり得ない

  4. 挑発的な服装の女性が被害にあう

  5. 女性が本気で抵抗すれば強姦は防げる

  6. 本当に強姦にあったなら女性は事件後ただちに泣きながら警察に届けるはずだ

  7. 女性は同意に基づく性行をした後になって、同意していなかったと嘘をつくものだ

  8. 女性は本心では強姦されることを望んでいる

これらは、数多くの実態調査から間違った認識であると明らかになっています。警察の認知している性暴力被害の多くは見知らぬ人からですが、その背景には見知らぬ人からの被害の方が届け出やすいという実態があります。実際には顔見知り・精神に異常をきたしていない人によって計画的に行われる犯行が多いのです。また、必ずしも被害者が女性、加害者が男性というわけではありません。

被害者がどんな服を着ていようと、それによって犯罪を肯定することは断じてありません。どのような場合でも、確実に加害者に全責任があります。被害者の「挑発的」な服装や行動が原因で被害に合うケースはごく稀に過ぎず、むしろ加害者は「大人しそう、訴えなさそう」と思う相手を狙う場合があります。レイプは暴力であり犯罪であり、被害者のいかなる服装も、同意のない性行為を正当化する理由にはなり得ません。

被害にあった時、恐怖や驚愕から凍りついたように声を上げることも抵抗することもできなくなってしまう心理や、被害後に現実を受け止められず、長期間にわたって混乱してしまう心理の存在があります。目に見える反応だけが被害の深刻さを表しているわけではないのです。

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セカンドレイプをしないために

誰かから性暴力被害の相談を受けた時、被害者が自分にとって身近な人であるほど、動揺し、感情的になってしまうのは当然です。また、被害者に対する心配から元気付けようとして発した言葉が、被害者に対して被害が残した傷を理解されていないと思わせ、かえって傷つけてしまう可能性もあります。

そこで、被害者からの相談を受けた時に心がけておいてほしい3つのポイントを紹介します。皆さんが被害相談を受けた際、ぜひご活用ください。

(以下<女性のためのアジア平和国民基金『レイプの二次被害を防ぐために 被害者を助ける7つのポイント』>より抜粋)

1.被害者の気持ちをよく聞く

  • 無理に全てを聞き出さず、被害者のペースに寄り添う

  • 被害者の話や感情を受け止める

  • 常に冷静に共感をもって 身体的、精神的な境界線を守る(泣いたり、怒ったりで感情の横取り、先取りをしない)

2.被害者を責めない、否定しない

  • 責められるべきは加害者であり、被害者のせいでは決してないことを理解してもらう

  • 被害者の話を決して否定しないでください

3.被害者の意思や行動を尊重し、支える

  • 警察への届け出といった被害後の対応を被害者の要望・許可なく先回りして行ったり、強要したりするのではなく、被害者の判断を尊重する

  • ​聞いた話は絶対に言いふらさない

 

参考文献

・三成美保・笹沼朋子・立石直子『ジェンダー法学入門』法律文化社, 2019

・女性のためのアジア平和国民基金(編)『レイプの二次被害を防ぐために 被害者を助ける7つのポイント』, 2003, https://www.awf.or.jp/pdf/0168.pdf

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